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NINE PERSPECTIVES - VP = ART #02 -





前回はこちらからお読みください


この記事は前回同様『Laced』からの記事になります。

元記事は基本的にこの分野で活躍する9名のインタビューを基に構成されています。

第1回目ではまず"VPとは"という基本的なところからスタートしました。


そして今回はその9名にスポットライトを当てた内容になります。

より深くこのカルチャーを理解するうえで欠かせない重要人物たち。

彼らの考えていること、表現をしたいことを知ることで更にVirtual Photographerとしてステップアップ出来るでしょう。



Frans Bouma aka Otis_Inf

Mik Bromley, owner of TheFourthFocus.com and organiser of the Virtual Photography Awards

Andy Cull

Duncan Harris aka Dead End Thrills aka TheOctagon

Petri Levälahti aka Berdu

PulseZET

Ángel Rivas aka Ichisake

James Snook aka Jim2point0

Chris Taljaard aka CHRISinSESSION






■ Frans Bouma aka Otis_Inf


彼はオランダ在住で、趣味で写真を撮りながらソフトウェアエンジニアとしても活動しています。

VPにおいては様々なゲームのカメラツールを開発し、

私も含めPCで撮影を行うフォトグラファーには欠かすことのできない強力なツールとなっています。

興味がある方は彼のPatreonページを覗いてみてください。

そして同じく多くのゲーマーが利用している『Reshade』においても、優秀なプリセットを開発し、

彼のツールを用いて撮影された写真を見たことがない人はいないでしょう。


自分自身は、Shinobi先生(前回の記事参照)の『Detroit: Become Human』のVPを見て、

どのように撮影しているのか個人的にメッセージ(初コンタクト!)を送ったところ、

Frans Bouma氏がクローズドのDiscord内にて限られたメンバーのみに配布していると聞き、

その存在を知りました。当時は確かPatreonのページが無かったため成すすべもなく諦めていたのですが、

その後Patreonがスタートし、DBHのカメラツールも使うことが出来るようになりました。


存在を知った際に見た『Devil May Cry 5』の写真から受けた衝撃は今でも忘れません。




■ Mik Bromley, owner of TheFourthFocus.com

and organiser of the Virtual Photography Awards


Mik氏についてはことあるごとに紹介してきたのでもはや説明不要だと思いますが、

自身のウェブサイト『TheFourthFocus』を運営しながら様々な情報を発信し、

近年では複数の企業ともチームアップをしつつ、自身でもVPコンテストである『VP Awards』などを主宰。


15年以上アマチュア写真家としても活動し、自身が生涯ゲーマーであることも語る通り、

初期の頃はAtariやAmigaの名作ゲームに夢中になっていたといいます。

なので、自身の趣味とこのVirtual Photographyが衝突することは必然的だったとも語っています。


「私の転機となったのは、コンソールゲームでカメラツールが普通に使えるようになったことです。

ゲーム内のフォトモードでは、ハードウェアやソフトウェアのコードを追加することなく、

自由な構図でユニークな写真を撮影することができます」


PS5リリース以降も、多くのゲームにフォトモードが搭載されるようになり、

Mik氏のようにそこからキャリアをスタートさせる人は今後も増えていくでしょう。


「魅力的な画像を撮影するという点では、現実の写真もバーチャルな写真も同じだと思います」




■ Andy Cull


Andy氏はホラー映画『The Possession of David O'Reilly』の脚本、監督を担当し、

ライターとして自身の著書『REMAINS』や『BONES』などがあります。

そう、彼はゲーム以外にも様々な表現方法があり、それらの活動がVPにおいても存分に活かされているでしょう。

彼のFlickrを見れば一目瞭然です。


ゲームが大好きというAndy氏は「ゲームの中で繰り広げられる世界、描かれているキャラクター、そしてストーリー。

これほど即効性があり、影響を与える可能性のあるストーリーテリングの形はありません」と述べており、

ゲームの表面的な部分だけではなく、映画などをディレクションする立場だからこそ、

その素材の一つ一つに魅力を感じ、引き出すことが出来ていると思います。




■ Duncan Harris aka Dead End Thrills aka TheOctagon


ご存知このシーンのパイオニア。同氏については前回の記事をご参照ください。

そんな我々にとって雲の上の存在の彼だからこそ、現状について思うこともあるようです。


VPに関連したソーシャルメディアが飽和状態になっていることが原因で、

練習に没頭しているベテランたちに倦怠感が生じていると指摘しています。

シーンが盛り上がることによって、これまでとは違った状況や人たちが増え、

自分たちが表現してきたことと意図しない状態を目にすると、少し嫌気がさすといったところでしょうか。


それでも彼は「雲に向かって怒鳴っている老人のように見えるのは自覚しています...」とジョークを飛ばしています。

一つのサブカルチャーが大きなカルチャーに変化していく過程は、良くも悪くも様々なことが起こります。

我々は楽しいことばかりに「YES」だけを言いながら目を向けず、

真剣に取り組んできた人たちの思いや考えにも耳を傾け、理解することが重要だと思います。


Duncun氏は、「"スクリーンショットのためにゲームをプレイする"というのは愚かなことだと非難され、よく反論を求められました」

と振り返ります。


「私は、ゲームに50ポンド以上も費やすのだから、『牛を丸ごと食べる』ためには、

スクリーンショットを撮る以外に方法はないと指摘していました。なぜなら、意図した流れの中でリラックスすることができず、

必然的に進行を中断し、自分の創造性をミックスに注入することに気を取られて、

開発者の創造性を評価することを忘れてしまうからです。そこで、次のように言い換えてみましょう。

牛を丸ごと食べたければ、消化不良になることを覚悟してください」


つまり、ゲームにお金を払っている以上、そのゲームを100%プレイするには、

スクリーンショットを撮るという要素も含めて100%プレイすることが出来ると。

ただし、スクリーンショットを撮るという行為は、ゲームをその為に中断し、それにばかり気を取られ、

ゲームを100%プレイ出来たといっても、本質的な部分ではゲームを正しく評価し楽しむことが出来なくなることを覚悟してね、

ということですね。


この点については後々の記事でも取り上げますが、確かにその通りだな、と理解できる内容でした。




■ Petri Levälahti aka Berdu


Berdu氏もVP好きな方なら知らない人はいないと言っても過言ではない人物で、

EAのDICEに所属する"プロ"のインゲームフォトグラファーです。

そう、我々の憧れの存在であり、技そのものとアイデアは多くのVirtual Photographer達が参考にし、

自らもそのアイデアや技術を惜しみもなくシェアしています。


個人的にもこのカルチャーに足を踏み入れた際、第一線で活躍するフォトグラファーの中で最初にその存在を知り、

辿り着いた同氏が運営するウェブサイトを見たときは、鳥肌が立つほど衝撃的でした。

彼についてはEAのコンテンツで貴重な単独インタビューにて詳しく答えているので、必ずそちらを読んでほしいです。


Berdu氏は「(VPは)他の趣味と同じように楽しいし、上達できるし、周りにはコミュニティもあります。もちろん、

個人的な目標や魔物もいます。良い写真を撮るという高みを追い求め、その結果に満足することはほとんどありません。

この趣味は私の人生を多くの面で変えてくれました。この趣味を生業とできるのは幸運です。仕事が趣味であることはほとんどない」

と述べています。


まだ発展途中のカルチャーということで、プロを目指すといったe-Sportsのように明確な目標がまだまだ曖昧なVPですが、

Berdu氏の存在を一つの希望や目標としている人たちは少なくないと思います。

ただ、そんな彼でも現状に満足することなく、より高みを目指し続けています。



■ PulseZET


後々の記事にも書きますが、パイオニアであるDuncan Harris氏の『Dead End Thrills』誕生がきっかけで、

後にFlickr集団『Undead End Thrills』が生まれるのですが、その集団の中で頻繁に名前が挙がっていた中の一人がPulseZET氏です。

彼のFlickrも当然ながら圧巻の出来栄え。ゲームでありながら映像的なセンスが際立ち、

同じ撮影スポットでもやはり一歩先を行くような表現で撮影がされています。


「(VPは)あらゆる瞬間を伴う創造的な行為だと考えてください」と語っている通り、

彼の目が捉えたその瞬間は、その空気感ごと写真の中にパッケージされています。




■ Ángel Rivas aka Ichisake


スペイン在住のAngel Rivas氏。我々日本人は思わず"おや?"と反応せずにはいられない、

ICHISAKE (いちさけ)』というウェブサイトを運営しています。ここで観れるポートフォリオも圧巻です。


Angel氏もDuncan Harris氏の作品に刺激を受けた一人。

「彼は、このメディアが本物の写真をはるかに超えたものになることを示し、クオリティーの水準を高め、

多くの人に趣味の域を超えた野心を抱かせてくれました」


そしてAngel氏は「ビデオゲームを撮影することは、

これらの世界を作っているすべての(ゲーム開発の)アーティストたちにラブレターを送るような、感謝の行為です。

多くのプレイヤーが見過ごしてしまうような、鋭い光を放つ隠れたコーナーを見つけることが重要なのです」

と語っている通り、多くのVirtuap Photographerがデベロッパーに対してリスペクトを口にします。


フォトモード自体が通常のプレイでは気付くことが出来ない細かい部分にもスポットライトを当てることができ、

そういった部分にも目を向けて表現することで、開発側の表現を自分のフィルターを通して発信が出来ます。

もしそれが開発側が目にすることがあれば、ラブレターとして受け取ってくれるかもしれませんね。


そして彼はこう続けます。

「そういった場所は、私が撮りたいと思っているポートレート写真にぴったりなのではないかと目を惹きます。

Virtual Photographerの仕事は、大量のReShadeエフェクトを使ってひねり出したとしても、

他の非常に才能のある人たちの仕事に依存しています。最終的には、彼らの素晴らしい作品をベースに撮影しているのです」


つまり、多くの人が使用するReshadeなどのツールを多用しても、結局他の誰かの作品と被ってしまう(依存している)、

重要なのはそういったツールを上手く使うことではなく、自身で見つけた良い光源がある場所などに本当のオリジナリティーがあり、

自分が撮りたい、目が惹かれるということですね。


カメラツールやMODを多用し撮影すること自体が悪いことではなく、それありきの撮影より、

オリジナリティーのある写真は自分で探し出してこそ、というのはうなづける部分です。

PC版でそういったツールを多用していても、ツールの使えないコンソール版での撮影と差がありすぎる人は、

今一度このAngel氏の言葉を考えて撮影してみるといいかもしれません。




■ James Snook aka Jim2point0


Jim2point0氏も、後の記事で紹介するFlickr集団『Undead End Thrills』の一員であり、

彼に付いては後々より詳しく取り上げられる為ここでは割愛しますが、

VPを知って間もない方には特に共感する部分もある素晴らしいVirtual Photographerの一人です。


共同でVPの真骨頂を感じる『FRAMED. Screenshot Community』も運営しており(こちらも後々詳しく書きます)、

だからこそ彼自身の撮るショットもかなりのクオリティーです。


「"Dead End Thrills "は、私や他の多くの人が最初にこの趣味を始めた理由です。

彼は、スクリーンショットと動画の両方で、ゲームがどれほど良く見えるかということに目を向けさせてくれました」

と振り返るように、Jim2point0氏もDuncun氏及び『Dead End Thrills』の誕生に大きな影響を受けています。


彼はFRAMED SCに記載の通り、Berdu氏とは違った視点で技術的な部分を多くシェアしています。

Berdu氏はユニークなアイデアをシェアしてくれますが、FRAMED SCではVPの持つアート性を表現するための手段、

とりわけMODなど多くのツールガイドを解説しています。


黎明期を知っている人物が運営するコミュニティーだからこそ、ここに掲載されることがとても名誉あることで、

真のVirtual Photographyといっても過言ではないと個人的に思うくらい、自分自身も大きな影響を受けています。




■ Chris Taljaard aka CHRISinSESSION


Chris Taljaard氏(CHRISinSESSION)はコンテンツクリアイターで、現実世界でのビデオ撮影や写真撮影の経験があり、

2010年に『Battlefield, Bad Company 2』で独自のシネマティックスを作成してバーチャルフォトグラフィーの道を歩み始めました。

現在もUBIやその他のゲームスタジオと定期的にコラボレーションをし、精力的に活動をしています。


2021年からはTwitter上でShinobi先生ら3名でVP関連ストリーマーの為の『VPStreams』を立ち上げ、

VPの可能性をさらに模索する活動も続けています。


「ビデオゲームの撮影では、通常の現実世界では不可能な、あるいは実現不可能な、さまざまなテクニック、アングル、ロケーション、シナリオ、環境を探求することができます。バーチャルな世界での撮影には、非常に大きな自由があります」

クリエイターとしての目線があるからこそ、VPに大きな自由や可能性を感じていることが伺えます。

そして写真のキャプチャー以外でもそれは現れており、映像作品においても彼のゲームに対しての情熱、リスペクトを感じます。

フォトモードのレクチャー映像も彼らしい内容で制作されているので、是非チェックしてみてください。


「私はシューティングレースゲームが大好きです。もともと実生活でもある程度レースに関わっていましたから。

シューティングレースゲームでは、現実世界では夢のようなショットに挑戦することができます」

現実世界での活動や興味がVPに反映されることで、通常のプレイでは気付かない視点での撮影を可能にします。

別の言い方をすると、現実世界での経験が反映できるほど、ゲームそのものが大きく進化し続けているということ。








第一線で活躍するVirtual Photographerたち。彼らの存在が今日のVPカルチャーの道を作り、

我々はその轍を辿りながら自分たちが出来る方法でこのVirtual Photographyを推し進めています。

カルチャーが大きくなるにつれ、よりゲーム内での撮影を楽しむ人が増えてくることは間違いないでしょう。

しかし、我々が拘っているこのVPは、通常のスクリーンショットとは異なる表現方法があり、

Virtual Photographerと名乗って活動を行うのであれば、それを表現するために活躍する彼らや、

彼らが作り出してきた思いや場所を知っておくことも重要だと考えています。


そのうえで楽しみ方は人それぞれです。

Virtual Photographyとは何か、Virtual Photographerとはどんな人たちなのか、単語だけが独り歩きして別の形になっていくのではなく、

より理解が深まって楽しむ方や表現することに興味を持つ方が増えればと思います。



NEXT...

次回は今回紹介した人物たちがどのような活動や取り組みを行い、またそれがどのようなことがきっかけでスタートしたのか、

今回の記事をより深堀する内容となっていますので、是非ご覧ください。




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